「初めての方へ」:探偵事務所の依頼ガイド

・探偵事務所とは

探偵事務所は、探偵業法に基づき、都道府県公安委員会に届出を行い、他人の依頼を受けて、特定の人物の所在や行動に関する情報を収集することを目的として調査を行う民間の機関です。具体的には、面接による聞き込み、尾行、張り込みなどの方法を用いて実地調査を行い、その結果を依頼者に報告します。

・探偵事務所に依頼できること

探偵事務所に依頼できる調査は多岐に渡りますが、主なものを以下に挙げます。
・浮気・不倫調査: 配偶者やパートナーの浮気・不倫の事実を確認するための調査です。証拠写真や動画の撮影、行動記録の作成などを行います。
・身辺調査: 結婚相手や交際相手の身元、経歴、交友関係などを調査します。結婚詐欺や交際トラブルを未然に防ぐ目的で行われることが多いです。
・人探し調査: 行方不明になった家族や知人、昔の恩人などを探す調査です。手がかりとなる情報が少ない場合でも、様々な方法で所在を調査します。
・ストーカー調査: ストーカー被害を受けている場合に、加害者の特定や証拠収集を行います。警察への相談と並行して依頼されることが多いです。
・企業調査: 取引先の信用調査、社員の不正行為調査、競合企業の調査など、企業活動に関わる様々な調査を行います。
・その他: 所在調査、家出人捜索、いじめ調査、近所トラブル調査、ペットの捜索など、個々の状況に応じて様々な調査が可能です。

探偵事務所に依頼できないこと

・探偵業法により、探偵事務所が行うことが禁じられている行為があります。以下はその主な例です。
・差別調査: 人種、民族、出自、性別、社会的身分、門地、思想、信条、宗教に基づいて差別的な目的で行う調査。
・違法行為: 住居侵入、不法侵入、盗聴、盗撮など、法律に違反する方法での調査。
・犯罪行為を助長する調査: 犯罪の計画や実行を助長するような調査。
・個人の思想、信条、性的指向等に関する調査で、差別につながるおそれのあるもの: 個人の内心に関する情報を探ることで、差別につながる可能性のある調査。
・ストーカー行為等規制法に違反する行為: ストーカー行為に該当するような方法での調査。

・探偵業法について

探偵業法とは?
「探偵業の業務の適正化に関する法律」(略称:探偵業法)は、2007年6月1日に施行された日本の法律です。この法律は、探偵業について必要な規制を定めることにより、その業務の運営の適正を図り、個人の権利利益の保護に資することを目的としています。簡単に言うと、探偵業を営む上でのルールを定めた法律です。
探偵業法で定められている主な内容
探偵業の定義: 「他人の依頼を受けて、人の所在又は行動について、面接による聞き込み、尾行、張り込みその他これらに類する方法により実地調査を行い、その調査の結果を当該他人に報告する業務」と定義されています。
届出義務: 探偵業を営むためには、営業所ごとにその所在地を管轄する都道府県公安委員会に届出を行う必要があります。無届けで探偵業を営むことは違法となります。
業務の実施に関する規制: 違法な調査方法(例:住居侵入、盗聴、差別調査など)の禁止、契約締結前の重要事項の説明義務、書面による契約締結義務、守秘義務などが定められています。
教育: 従業員に対する教育を行うことが義務付けられています。
名義貸しの禁止: 他人に自己の名義を貸して探偵業を行わせることは禁止されています。
標識の掲示: 令和6年4月1日より改正探偵業法が施行され、探偵業届出証明書は廃止されました。施行日以降は、標識を作成し、営業所の見やすい場所に掲示するとともに、ウェブサイト上においても標識を掲示することが義務付けられます。

探偵業法で禁止されている行為の具体例

・住居侵入、不法侵入
・盗聴、盗撮(正当な理由がない場合)
・差別調査(人種、民族、出自、性別、社会的身分、門地、思想、信条、宗教等に基づく調査)
・ストーカー行為等規制法に違反する行為
・その他、法令に違反する行為

・探偵事務所の選び方:基本編

探偵事務所を選ぶ際に確認すべき基本情報
探偵業の届出の有無: 最も重要な確認事項です。探偵業法に基づき、探偵業を営むには都道府県公安委員会への届出が義務付けられています。届出をしていない業者は違法業者であり、絶対に依頼してはいけません。
確認方法:事務所のウェブサイトに「探偵業届出証明書番号」や「届出先公安委員会名」が記載されているかを確認します。
事務所内に「探偵業届出証明書」が掲示されているかを確認します。(令和6年4月1日以降は標識の掲示に変更)
各都道府県警察のウェブサイトで、届出をしている探偵業者の一覧が公開されている場合がありますので、そちらで確認することもできます。
事務所の所在地: 事務所の所在地が明確であるかを確認します。所在地が不明瞭な場合や、連絡先が携帯電話番号のみの場合は注意が必要です。実在する事務所であれば、登記簿謄本などで所在地を確認することができます。
連絡先: 電話番号、メールアドレス、FAX番号などが明確に記載されているかを確認します。連絡が取りやすい複数の連絡手段が用意されていることが望ましいです。
代表者氏名: 代表者の氏名が公開されているかを確認します。代表者の氏名が不明な場合や、頻繁に変わる場合は注意が必要です。
事務所の開設年: 長く営業している事務所は、それだけ実績と経験があると言えます。ただし、開設年が浅いからといって必ずしも悪い業者とは限りません。
所属団体: 探偵業に関連する団体(例:一般社団法人日本調査業協会など)に所属しているかを確認します。所属団体は、一定の基準を満たした業者のみが加入できるため、信頼性の判断材料の一つとなります。ただし、所属していないからといって必ずしも悪い業者とは限りません。
ウェブサイトの有無と内容: ウェブサイトがある場合は、その内容をよく確認します。料金体系、業務内容、会社概要、プライバシーポリシーなどが明確に記載されているか、情報が古くなっていないかなどを確認します。
事務所の雰囲気:可能であれば、実際に事務所を訪問し、雰囲気を確認することをお勧めします。清潔感があるか、整理整頓されているか、スタッフの対応はどうかなどを確認します。

探偵事務所の選び方:実績・評判編

なぜ実績・評判の確認が重要なのか?
・調査能力の判断: 過去の実績を見ることで、その事務所がどのような種類の調査を得意としているのか、どの程度の調査能力を持っているのかを判断することができます。
・信頼性の判断: 長く営業している、多くの依頼を受けている、良い評判が多いといった事実は、その事務所の信頼性を裏付ける要素となります。
・顧客対応の質の判断: 口コミや評判を見ることで、その事務所の顧客対応の質(相談のしやすさ、説明の丁寧さ、アフターフォローなど)をある程度把握することができます。
・トラブル回避: 悪質な業者や評判の悪い業者を避けることで、トラブルに巻き込まれるリスクを減らすことができます。

確認するべきポイント

・具体的な事例:どのような種類の調査を、どのような方法で行い、どのような結果を得たのか、具体的な事例が紹介されているかを確認します。「多数の実績あり」といった抽象的な表現だけでなく、具体的な内容が示されているかどうかが重要です。
・顧客の声: 顧客からの感謝の声や評価が掲載されているかを確認します。ただし、自作自演の可能性もあるため、他の情報源と合わせて確認することが重要です。
・調査件数: 年間の調査件数や、創業からの累計調査件数などが公開されている場合は、実績の目安となります。
・メディア掲載: テレビ、雑誌、新聞などのメディアに掲載された実績がある場合は、事務所の知名度や信頼性を高める要素となります。
・表彰: 何らかの団体から表彰を受けている場合は、実績や貢献が認められている証となります。

・探偵事務所の選び方:料金編

料金に関する重要な注意点
:料金の安さだけで選ばない: 極端に安い料金を提示する事務所は注意が必要です。調査能力が低かったり、後から高額な追加料金を請求されたり、最悪の場合は違法な調査を行われたりする可能性があります。料金だけでなく、事務所の実績、評判、信頼性なども総合的に判断することが重要です。
:見積もりは複数社から取る: 複数の事務所に見積もりを依頼し、料金だけでなく、サービス内容、担当者の対応なども比較検討することで、自分に合った事務所を選ぶことができます。
:口約束ではなく書面で確認: 料金に関する説明は、口約束だけでなく、必ず見積書や契約書などの書面で確認するようにしましょう。後々のトラブルを防ぐために重要です。
:追加料金の有無と条件を明確に: 追加料金が発生する場合は、どのような場合に発生するのか、金額はいくらなのかを明確に説明してもらうようにしましょう。例えば、調査期間が延長した場合、調査地域が遠方の場合、特殊な機材を使用する場合、深夜や早朝に調査を行う場合などに追加料金が発生する可能性があります。
:キャンセルポリシーを確認: 契約をキャンセルする場合の料金についても確認しておきましょう。キャンセル料が発生する場合、いつから発生するのか、金額はいくらなのかなどを確認します。

探偵事務所の主な料金体系

1.時間制料金: 調査員1名あたりの時間単価に、調査時間と調査員の人数を乗じて料金を算出する方式です。短時間の調査に適していますが、調査が長引くと高額になる可能性があります。
確認ポイント
:調査員1名あたりの時間単価
:最低調査時間
:調査に必要な人数(事前に見積もりで確認)
:時間超過の場合の料金
:深夜・早朝料金の有無

2.パック料金: あらかじめ調査時間や内容がパッケージ化されたプランです。一定の範囲内であれば料金が固定されているため、予算を立てやすいというメリットがあります。しかし、パック内容に含まれない調査が必要になった場合は、追加料金が発生する可能性があります。
確認ポイント
:パックに含まれる調査内容(時間、範囲、調査員の人数など)
:パック内容に含まれない調査が必要になった場合の追加料金
:パックの時間内に調査が終わらなかった場合の対応
:パック料金の適用条件

3.成功報酬制: 調査が成功した場合(目的の情報の入手など)に報酬が発生する方式です。着手金が必要な場合と不要な場合があります。成功の定義があいまいだとトラブルになる可能性があるため、契約前にしっかりと確認することが重要です。
確認ポイント
:成功の定義(どのような状態を成功とみなすか)
:報酬の金額
:着手金の有無と金額
:成功とみなされない場合の料金
:成功報酬の支払い時期

・相談・面談のポイント

なぜ相談・面談が重要なのか?
・不安や疑問の解消: 調査に対する不安や疑問を直接担当者に質問し、解消することができます。
・調査内容の明確化: 依頼内容を具体的に伝えることで、最適な調査プランを提案してもらえます。
・担当者との相性確認: 実際に担当者と話すことで、相性やコミュニケーション能力などを確認できます。
・事務所の雰囲気確認: 事務所の雰囲気やスタッフの対応などを確認することで、安心して依頼できるかどうかを判断できます。
・契約内容の確認: 契約前に、料金、調査内容、キャンセルポリシーなどを改めて確認できます。

・相談・面談前に準備しておくこと

・相談内容の整理: 何について調査を依頼したいのか、どのような情報を得たいのかを明確に整理しておきます。箇条書きなどでまとめておくと、スムーズに説明できます。
・関連資料の準備: 調査に関係する資料(写真、手紙、メール、情報など)があれば、持参すると説明がスムーズになります。
・質問事項のリストアップ: 相談時に質問したいことをリストアップしておきます。聞き忘れを防ぎ、疑問点を解消することができます。

・悪徳業者に注意!

悪徳業者の特徴
悪徳業者は、以下のような特徴を持っていることが多いです。
:探偵業の届出をしていない: 探偵業法に基づき、探偵業を営むには都道府県公安委員会への届出が必要です。届出をしていない業者は違法業者です。
:極端に安い料金を提示する: 他の事務所と比べて極端に安い料金を提示する業者は注意が必要です。後から高額な追加料金を請求されたり、ずさんな調査を行われたりする可能性があります。
:「必ず成功する」などの誇大広告: 「必ず成功する」「絶対に証拠を掴む」などと謳う業者は信用しない方が良いでしょう。調査には様々な要因が影響するため、必ず成功するとは限りません。
:違法な調査を持ちかける: 盗聴、不法侵入、ストーカー行為など、違法な調査を持ちかける業者は絶対に依頼してはいけません。依頼者自身も罪に問われる可能性があります。
:契約を急かす: 契約を急かしたり、強引に契約を迫ってくる業者は注意が必要です。
:事務所の所在地や連絡先が不明瞭: 事務所の所在地が不明瞭な場合や、連絡先が携帯電話番号のみの場合は注意が必要です。
:対応が不誠実: 相談時の対応が不誠実であったり、質問に対して曖昧な回答しかしない場合は注意が必要です。
:契約書の内容が曖昧: 契約書の内容が曖昧であったり、依頼者に不利な条項が含まれている場合は注意が必要です。

・悪徳業者の手口

:悪徳業者は、以下のような手口で依頼者を騙そうとすることがあります。
:高額な追加料金の請求: 契約後、様々な理由をつけて高額な追加料金を請求してくる。
:ずさんな調査: 調査を行っているように見せかけて、実際には何もしていない。または、杜撰な調査を行い、期待した結果が得られない。
:個人情報の悪用: 調査で得た個人情報を悪用したり、第三者に漏洩したりする。
:脅迫: 依頼者や調査対象者を脅迫して金銭を要求する。
:キャンセル料の高額請求: キャンセルしようとすると、高額なキャンセル料を請求してくる。

悪徳業者に騙されないためには、契約前にしっかりと情報を収集し、慎重に業者を選ぶことが重要です。万が一被害に遭ってしまった場合は、泣き寝入りせずに、適切な機関に相談するようにしましょう。