探偵と盗撮
探偵は盗撮の罪にならないの?
探偵が行う撮影は、法令を順守し合法な手段で行われることが基本です。探偵業の倫理や法的な規定に基づき、プライバシー権を尊重しながら行動することが求められています。
探偵の尾行において、報告書の作成や依頼者への情報提供のために対象者の行動を撮影することが一般的です。しかし、これは違法な盗撮行為ではなく、調査の正当な手段とされています。隠し撮りであっても、法的なルールに基づいて行われ、プライバシー権の侵害を避けつつ調査を進めます。
探偵が行う撮影は、合法かつ公正な手段であることが求められ、法令を遵守しながら行動します。これにより、報告書には信頼性が生まれ、依頼者との信頼関係を構築する要素ともなっています。
「隠し撮りは盗撮ではないの?」
「プライバシーの侵害にならないの?」
探偵による調査や撮影が行われると、当然ながら対象者や関係者はその事実に驚きや怒りを感じることがあります。これはプライバシーを侵害されたと感じたり、個人の行動が監視されていることに違和感を覚えるからかもしれません。
しかし、法的には探偵が合法な手段で調査を行っている場合、それは盗撮やプライバシー侵害には当たりません。法令を順守し、調査対象者の権利を尊重しつつ情報収集を行っているのが通例です。探偵が行う調査は、特定の目的のために法令を遵守した範囲で行われており、合法性が確保されていることが強調されます。
したがって、怒りを感じることがあるかもしれませんが、その行動が合法である限り、プライバシー侵害や盗撮の法的な問題には発展しないことが期待されます。
盗撮では?
一概に盗撮といっても、犯罪としての盗撮と、単に行為としての盗撮は微妙に異なります。
法的には「犯罪として成立する盗撮とそうでない盗撮がある」と考えられるのです。
犯罪としての盗撮を罰する法律(条例)は次の2つが該当します。
(軽犯罪法)
正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者は、これを拘留又は科料に処する。
(迷惑防止条例)
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせる行為を禁止する。
具体的な基準を言えば、盗撮が「わいせつ目的」または「覗き目的」であるかどうかが犯罪成立の分け目となります。
つまり通常の調査目的である限りは、探偵の隠し撮りは犯罪とまではならないことになります。
但し、依頼を受けて対象者のキャッシュカードの暗証番号情報を撮影するなど、そもそも犯罪(窃盗)に絡む場合は犯罪行為となる可能性があります。
肖像権侵害・人格権侵害では?
探偵の調査活動において、特に肖像権の侵害やプライバシー侵害については注意が必要です。肖像権は、自分の姿や顔写真が無断で使用されることに対しての権利であり、プライバシー侵害もその一環と考えられます。
探偵が調査対象者の肖像を撮影する場合、その行為がプライバシーの侵害に該当するかどうかは、具体的な状況や撮影方法により異なります。たとえ合法な手段で行われたとしても、撮影が公共の場で行われ、通行人など他の人々も同様に見ることができる場面であれば、特に問題は生じないでしょう。
しかし、プライベートな場での撮影や、撮影対象者が特定の場面でのみ被写体となっている場合は慎重でなければなりません。これが肖像権やプライバシー侵害に該当する可能性が高まります。
総じて、合法かつ公正な手段で行われる調査においても、慎重な姿勢が求められ、調査者は法令と倫理に則りつつ、依頼者の期待に応えるべく努めるべきです。
~公共の場所では肖像権より「表現の自由」が優先される場合が多い~
探偵が撮影しているのは、例えば対象者の自宅の中などではなく「公共の場所での対象者の行動」です。
表現の自由というものに探偵の調査が含まれるかどうかは微妙ですが、そもそも調査報告書を作成するための写真撮影とも言え、調査報告書は創作物とも言える可能性はあるのではないでしょうか。
(人格権)被写体としての権利でその被写体自身、もしくは所有者の許可なく撮影、描写、公開されない権利。すべての人に認められる。
プライバシーにおける人格権には「許可なく撮影・公開されない権利」というものがあります。
悪質なケースはそもそも探偵業務の範疇を逸脱しているので、通常の探偵の撮影行為がこの人格権侵害に該当することかどうかが問題となるでしょう。
探偵の調査には守秘義務があり、調査中に撮影したものにも当然守秘義務が適用されます。
ですのでまず一般に公開するということはプライバシー侵害以前にあってはならないことです。
問題は「許可のない撮影」の部分でしょう。