探偵事務所って何をしてくれる?依頼できる内容と相談の流れをやさしく解説

「探偵事務所って、結局なにをしてくれるの?」


そう思うのは自然です。テレビだと派手な尾行や一発逆転の証拠が出てきますが、現実はもう少し地味で、そしてずっと生活寄りです。

探偵事務所の基本は、あなたの不安や疑問を「思い込み」ではなく「事実」に近づけること。
言い換えると、感情のケンカでは解決しにくい問題を、冷静に整理するための手助けをしてくれます。

このコラムでは、探偵ができること/できないこと、よくある依頼内容、そして相談から報告までの流れを、できるだけ肩の力を抜いて説明します。

探偵事務所の仕事は「事実を集めて、分かる形にまとめる」こと

探偵の仕事を一言でいうなら、こうです。

何が起きているのかを調べる

それを後から説明できる形(記録・報告書)に整える

たとえばパートナーの浮気疑惑。
本人に聞いても「勘違い」「仕事だよ」で終わることは多いですし、証拠がないまま問い詰めると警戒され、状況が余計にこじれることもあります。

探偵はそこで、尾行や張り込みなどの方法で「いつ・どこで・誰と・何をしていたか」を積み上げます。
大事なのは“気持ち”ではなく“確認できた事実”。ここがブレないと、その後の判断(関係修復、別居、慰謝料請求、警察相談など)も落ち着いて考えられます。

どんなことを依頼できる?よくある相談テーマ

探偵に依頼できる内容は、想像より幅があります。代表的なものを、目的と一緒に見ていきます。

1)浮気・不倫の調査(行動調査)

いちばん相談が多い分野です。やることはシンプルで、対象者の行動を追って事実を確認します。

誰と会っているのか

どこに出入りしているのか(飲食店、相手宅、ホテルなど)

どのくらいの頻度なのか(継続性)

証拠として見せられる写真・記録が取れるか

ここでよくある誤解が、「怪しい写真が1枚あれば十分」というもの。
話し合いだけならそれでも良い場合がありますが、慰謝料請求や調停・裁判を視野に入れるなら、時系列や場所が分かる記録がそろっている方が強いです。探偵が“報告書”に力を入れるのは、そのためです。

2)人探し・所在確認(家出、音信不通など)

家族が突然いなくなった、元配偶者と連絡が取れない、貸したお金の相手の所在が分からない。
こうした「今どこにいるのか」を確認する相談もあります。

ただし、人探しは情報量で難易度が変わります。手がかりになるのは、たとえば以下です。

最後に確認できた日時・場所

交友関係、行きそうな場所

SNSの利用状況

生活圏(通勤、よく行く店、趣味)

情報が少ないほど時間も費用も増えやすいので、相談時に「分かっていること/分からないこと」を整理しておくとスムーズです。

3)ストーカー・嫌がらせの実態確認(証拠集め)

「気のせいかも」と流されやすいのが、ストーカーや嫌がらせ。
けれど、被害を訴える側としては、怖いし、日常が削られます。

この分野で探偵が手伝えるのは、主に“証拠化”です。

いつ、どこで、どんな被害が起きているかを記録する

張り込みで実態を確認し、写真や映像で残す

警察や弁護士に相談しやすい形に整える

探偵は逮捕や強制力を持ちません。だからこそ、「相談が通る材料を集める」という使い方が現実的です。

4)結婚前・交際相手の信用調査(不安の整理)

結婚や同棲など、大きな決断の前に「相手の話は本当なのか」を確かめたい人もいます。
たとえば、既婚なのに独身だと偽っているケースや、勤務先・生活状況の“盛り”が疑われるケースなど。

ただ、ここはとてもデリケートです。やり過ぎると関係自体が壊れることもあります。
だから探偵事務所でも、受ける・受けないを慎重に判断する分野です。相談するときは「何が不安で、どこまで確認したいのか」を言葉にするのが大切です。

5)企業向けの調査(内部不正、取引先確認など)

個人だけでなく、企業からの依頼もあります。

社員の不正や情報漏えいの疑い

取引先の実態確認(公開情報+実地確認など)

採用に関するトラブル予防(法的配慮が必要)

企業案件は法務と絡むことが多いので、弁護士と連携して進むこともあります。

探偵が「できること」と「できないこと」

ここは、トラブル予防のために必ず押さえておきたいところです。

できること(一般的な例)

尾行・張り込み・聞き込み(適法な範囲で)

行動の記録(日時、場所、移動手段など)

写真・動画の撮影(プライバシー侵害にならない形で)

調査報告書の作成

できないこと(違法・危険になりやすい例)

住民票や戸籍の“不正取得”

相手宅への侵入、鍵開けなど

盗聴器の設置、違法な盗撮

なりすましや詐欺的な手口で情報を引き出すこと

もし相談したときに「何でもできます」「住所すぐ出せます」など、明らかに危ないことを言う事務所があれば、そこで止めた方が安全です。
依頼者側が巻き込まれる可能性もあります。

相談から報告まで:だいたいこう進む

初めてだと一番気になるのが、流れと雰囲気だと思います。一般的には次の順番です。

① 問い合わせ・初回相談

電話、メール、LINEなど。
この時点で決めきる必要はありません。まずは状況の棚卸しです。

相談前にメモしておくと便利なのは、次のような内容です。

何が不安なのか(具体的な出来事)

いつ頃、どこで起きているか

対象者の基本情報(外見、車、勤務先、よく行く場所)

目的(事実確認だけ/証拠が欲しい/今後の判断材料が欲しい)

予算の上限(ざっくりでOK)

② 面談・ヒアリング(調査プラン作り)

ここで探偵側が「どう調べるか」を組み立てます。
浮気調査なら、怪しい曜日・時間帯、帰宅時間のズレ、移動手段などが重要です。

逆に言うと、ここが丁寧な事務所ほど、無駄な調査を減らせます。

③ 見積もり・契約

料金の出し方は事務所によって違います(時間制、パック、成功報酬など)。
どの方式でも、必ず確認したいのはこの4つです。

料金の内訳(人員、車両、機材、交通費など)

追加費用が発生する条件

キャンセル規定

報告書の内容と受け取り方法

「今決めないと損」と急がせるところは、基本的に避けた方が無難です。

④ 調査スタート

当日は探偵が動きますが、依頼者が協力できる場面もあります。
たとえば「今日は飲み会と言って出た」「急に残業になった」など、予定変更の共有があると精度が上がることがあります。

一方で、調査中に感情が爆発して相手を問い詰めてしまうと、相手が警戒して調査が難しくなることも。ここはぐっと我慢が必要な場面です。

⑤ 結果報告・報告書の提出

調査結果は、口頭だけでなく“形”として渡されます。
報告書には、日時・場所・行動の流れ、写真などが時系列で整理されるのが一般的です。

この報告書が必要なのは、「第三者に説明する」ためです。
弁護士や警察、あるいは家族に状況を伝えるとき、感情だけでは伝わりません。だから“資料”が効いてきます。

⑥ その後の相談(必要なら)

結果が出たあと、次にどうするかが一番しんどいところです。
良い事務所ほど、「これから取り得る選択肢」を落ち着いて整理してくれます。

追加調査が必要か

弁護士に相談するタイミングはいつか

自分はどうしたいのか(修復か、距離を置くか)

調査はゴールではなく、判断のための材料集め。ここを忘れないのが大切です。

料金ってどのくらい?(目安と考え方だけ)

具体的な金額は地域や事務所、難易度で変わるのでここでは断定しませんが、考え方だけ知っておくと安心です。

探偵費用はだいたい「人が何人、何時間動くか」で決まります。尾行は1人だと見失いやすいので、複数人で動くことが多いです。だから、単純に時間だけでなく“体制”がコストに直結します。

よくある料金の形は3つ。

時間制:1時間あたりの単価×稼働時間(調査員の人数が掛け算になることが多い)

パック:10時間、20時間など一定枠でまとめた料金(見通しが立てやすい)

成功報酬:条件を満たしたら報酬が発生(条件の定義を必ず確認)

そして、意外と見落としやすいのが「別途費用」です。たとえば交通費、高速代、宿泊、車両費、機材費、報告書の作成費など。
見積もりでは、「調査料金」「実費」「追加が出る条件」がセットで書かれているかを見てください。

相談前にできる“準備”はこれだけで十分

探偵に相談する前に、完璧な資料を作る必要はありません。ただ、次のようなメモがあると話が早いです。

対象者について

だいたいの身長・体型、髪型、服の傾向

よく使う交通手段(車、電車、徒歩)

車ならナンバーや車種、色

よく行く場所(職場、ジム、行きつけの店など)

「怪しい」と感じた出来事

いつから変化が出たか

帰宅が遅い曜日、外出が増えた日

連絡がつきにくい時間帯

使っているアプリやSNSの変化(増えた・消した等)

自分がどうしたいか(仮でOK)

まず事実だけ知りたい

証拠を取って話し合いたい

弁護士相談につなげたい

この3点がそろうと、探偵側も「どこを狙うと効率が良いか」を組み立てやすくなります。

よくある質問(不安になりやすいところ)

Q1. 相談したら、必ず契約しないといけませんか?

いいえ。相談=契約ではありません。
むしろ、話してみて「今回は調査しなくてもよさそう」と分かることもあります。

Q2. 相手にバレたりしませんか?

ゼロとは言えませんが、プロはバレにくい動き方を前提にしています。
ただし、依頼者側が急に問い詰めたり、普段と違う行動をしたりすると、相手が警戒して難しくなることがあります。調査期間中は“いつも通り”が強いです。

Q3. 証拠って、どんな形でもらえますか?

一般的には、時系列でまとめた報告書と写真(場合によっては動画)です。
「裁判で使えるか」はケース次第なので、目的が法的手続きなら、相談時にその旨を伝えておくと安心です。

Q4. 自分でGPSを付けたら安く済みますか?

安くなるどころか、トラブルになる可能性があります。
相手の持ち物への無断設置などはリスクが高いので、やる前に専門家(弁護士など)に確認する方が安全です。

こんな事務所は避けた方がいい(分かりやすい赤信号)

料金の説明が「だいたいこれくらい」だけで、内訳が出ない

追加料金の条件が書面にない

違法っぽいことを平気で提案する

「今日決めないと損」と急かしてくる

不安をあおる言い方ばかりで、冷静な選択肢を出してくれない

探偵は“信頼して情報を預ける相手”なので、感覚的に「この人に話して大丈夫」と思えるかも大事です。

まとめ

探偵事務所は、誰かを追い詰めるための場所というより、「自分の不安を整理し、次の一歩を決めるための道具」に近い存在です。
相談は大げさな決断ではなく、状況を落ち着いて言語化する機会でもあります。

もし今、心の中で同じ疑問がぐるぐる回っているなら、まずは“何を知りたいのか”を紙に書き出すところからで十分です。そこから先に、探偵に頼るかどうかを決めても遅くありません。

最後にひとつだけ。調査をするかどうかよりも大切なのは、あなたが「これからどう生きたいか」を守ることです。
探偵事務所は、そのための材料を集める外部の手です。抱え込みすぎず、必要なら頼ってください。